日本の「ご飯とおかず」文化
みなさんは海外で食事をした際に、食事の仕方が、私たち日本人と違うと感じたことはありますか?
仕事柄、海外の人と接する機会が非常に多く、よく観察していると、日本人との食文化の違いに、目を丸くすることが多々あります。
「おかずとご飯」は1品カウント?
日本の食卓では、「一汁三菜」という言葉があるように、主菜に「ご飯」、副菜に「おかず」、そして「お味噌汁」という献立が定番です。
一人暮らしで「一汁三菜」とまではいかなくても、やはり「おかずとご飯」という食事をする傾向にあります。
しかし海外では、特にアジア以外の地域では、そういった「おかずとご飯」文化が無いように感じます。
アメリカのホテルで朝食をとっていたときのこと。
私たちはツアーで旅行していたので、テーブルの周りには同じツアーに参加していた日本人が陣取っていました。
朝食はビュッフェ方式で、食べ物を取りに行くために、日本人が集まっているテーブルの島を離れます。
アメリカの人は、どんな風に食事をとっているのかに興味深々だった私は、オムレツを焼いてくれるのを待つ間、アメリカの方々の食事風景を見ていました。
そこで、日本人との大きな違いを発見しました。
アメリカ人は、パンの上にスクランブルエッグやハムを乗せ、口に運びます。
要は、「おかず」と「主食」をサンドイッチのように、1品として口に運びます。
対して、日本人は、スクランブルエッグを口に運び、その後に、パンを口に運びます。
要は、「おかず」と「主食」を別々にして、2品として口に運ぶのです。
口の中での味は、結果的に一緒になりますが、食事の仕方に対する概念が違うように感じました。
日本人にとって、スクランブルエッグはあくまでも「おかず」であり、パンは「主食」なのです。
アメリカ人にとっては、パンとスクランブルエッグをカスタマイズし、サンドイッチにしたものが「メインディッシュ」であり、スクランブルエッグは「サイドディッシュ」ではないのです。
味がないのに愛される「白いご飯」
こうした背景には、日本が大昔から特有の食文化として、今もなお愛されている「白いご飯」を中心に食文化が形成されてきたことにあると思います。
白いご飯は、ご存知の通り、そのものには味気が無く、漬物やおかずがあって、初めてご飯を美味しく感じることができると思います。
古い日本の時代には、米はたくさん採れたけど、今でいう「おかず」に分類されるような、豊かな食物は無かったと言われています。
だからこそ、日本人は白いご飯に対して、非常に愛着があり、日本の米文化が生まれてから、今でもなお日本人には欠かせない食べ物なのです。
どんなに日本の食文化が変わっても…
アメリカの朝食シーンに当てはめて考えると、日本人にとって、「おかず」のスクランブルエッグやハムを口に運んだあとに、「主食」のパンを口に運ぶという食事の仕方は、「おかず」のあとに、「ご飯」を口に運ぶという食事の仕方にあると思います。
こんなにも、日本の食生活が欧米化しているにも関わらず、食事の仕方は、大昔から変わらないという日本人の文化。
これは、ずっと変わらない日本人の食文化として、ぜひとも大切にしたいものです。
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