SONY、Maxell、TDK…あの頃のカセットテープは「古くて新しい」

2021年2月10日

みなさんはご自宅に「カセットテープ」はありますか?

今はもうほとんど見かけなくなりましたよね…

若い世代の方は、あまりご存じないでしょうか?

アラフォー、アラフィフ世代以上の方は「あった、あった!」と懐かしい思い出がよみがえるでしょうか?

今日は昭和後半~平成の前半の時代を彩った「カセットテープ」についてご紹介いたします。

カセットテープとは

カセットテープとは、磁器テープを採用した記録メディアとして、何度も上書きができて、取り扱いが簡単であったことから、1970年代後半から1990年代まで大活躍しました。

1982年にCDがアナログレコードに代わって普及し、CDをレンタルしてきて、カセットテープにダビングして聞く、というスタイルが定着しました。

カセットテープ時代あるある

ここで当時の「カセットテープあるある」をあげてみましょう。

ほんのひととき、当時のシチュエーションを思い出して、浸ってみてください。

オリジナルソング集を作った

お気に入りの曲を集め、ダビングする順番を自分で決めて、「My favorite Song」などとケースのラベルに書き、自分だけのオリジナルテープを作りましたよね。

また、自分のお気に入りソングやオススメソング集などを、友達と交換した方もいらっしゃるのではないでしょうか?

CDに書かれている曲の長さで計算

例えば、46分テープであれば、片面は23分45秒です。

レンタルしてきたCDに表記されている曲の長さを足して、23分42秒程度に収まるように計算して、選曲をしませんでしたか?

どう頑張って調整しても、20秒ほどテープの余白ができてしまうことも…

カセットテープは今と違って、ワンタップで次の曲に飛ぶことができなかったのです。

テープの最後の曲が終わり、20秒ほどテープの残りがあっても、その時点でカセットテープを片面にひっくり返すと、反対面の1曲目の途中から始まってしまうのです…

早送りしたり、やむを得ず無音の時間を過ごしたり…

今はワンタップで曲を飛ばせるので、便利な時代になりましたね。

テープの余白を回すのは指派?鉛筆派?

カセットテープは最初と最後に、必ず録音・再生できない余白部分があるのです。

CDをダビングする場合、最初の余白部分のテープをくるくると回しておかないと、曲の最初が録音されずに、途中からの再生になってしまいます。

テープの余白を回すとき、小指で回す人と鉛筆やペンなどで回す人がいました。

あなたは指派でしたか?鉛筆派でしたか?

革命だったオートリバース機能

これはカセットテープではなく、再生プレーヤーの話になりますが…

最初に出たカセットレコーダーには、A面からB面に移る際は、自分でカセットテープをひっくり返さなければなりませんでしたよね。

私はオールナイトニッポンのような深夜ラジオを録音して、よく聞いていました。

しかし、オールナイトニッポンのような2時間番組を、120分テープに録音しようと思うと、カセットテープをひっくり返すために、最初の1時間は起きていなければならなかったのです。

途中で寝てしまい、最初の60分しか録音されていなかったこともありました。

カセットテープをひっくり返すためだけに、目覚まし時計をセットしたことも…

そんなラジオリスナーに革命を起こしたのが、オートリバース機能です。

オートリバース機能は、カセットレコーダーが自動的にカセットテープを反転してくれる機能です。

オートリバース機能の出現により、安心して眠りにつくことができました。

しかし、先ほどの「テープの余白」の部分はやはり録音されません。

録音したラジオを再生し、B面に反転したときに、話のつながりの部分は録音されていないので、話のつながりがわからず、「何の話だったんだろう…」と思ったことも何度もありました。

その後、カセットテープの中にデータが収録されていない無音の部分を認識した頭出し機能のように、どんどん便利な機能が追加されていきました。

消せないようにツメを折る

ダビングしたCDを絶対に消したくない場合、カセットテープのツメを折って、上書き録音できないようにしませんでしたか?

また、ツメを折ってしまったカセットテープに、再度録音する場合、ツメの部分にセロハンテープを貼ることで上書き録音可能にできたのです。

以上、カセットテープあるあるを書いてみましたが、当てはまるものはありましたか?

当時のシーンを思い出したでしょうか?

とても懐かしいですね。

カセットテープの歴史

日本で初めてカセットテープを商品化したのは、マクセル株式会社です。
1966年のことでした。

片面30分、両面で60分のカセットテープが、1966年当時に700円で販売されていました。

マクセル株式会社は、現在も年間1000万本ものカセットテープ出荷数があります。

カセットテープには種類があり、磁器テープの種類によってノーマルハイポジメタルがありました。

3種類のうち、メタルが一番高価格で高音質でした。

しかしメタルは一回録音すると、上書きしても前の音が残ってしまうので、何度も繰り返して録音する場合、実はノーマルが最適なのです。

そんなカセットテープが大活躍した大きな理由は、1979年にSONYから発売されたウォークマンに代表される、携帯用カセットプレイヤーが広まったことにあります。

クイズです!

ウォークマン1号機の標準価格はいくらだったでしょうか?

  1. 11,000円
  2. 33,000円
  3. 55,000円

正解は2.の33,000円です!

当時の大卒初任給がおよそ11万だったので、ウォークマンはとても高価なものでした。

当時学生だった方の中には、aiwaのカセットボーイを愛用された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

SONYのウォークマンの当初の売れ行きは、あまり良いとは言えませんでした。

ウォークマンの大ヒットのきっかけ

ウォークマンの大ヒットのきっかけは、西城秀樹さん。

西城秀樹さんが、上半身裸と短パンでウォークマンを聞きながら、ローラースケートをしている写真が、月刊明星の見開きページに掲載されたのです。

その後見事に大ヒットしました。

当初、ウォークマンの発売1か月の売上は3000台ほどでしたが、西城秀樹さんの月刊明星発売の翌月には初回生産3万台を全て売り上げました。

その売れ行きは供給不足が半年間続くほどの人気でした。

今では当たり前ですが、外で音楽を聞く文化の始まりとも言われていました。

カセットテープの衰退

そんな一世を風靡したウォークマンですが1991年にSONYからMDという新しい録音メディアが登場しました。

MDなら、まだ家にある方もいらっしゃるのでは?

さらに2001年に発表されたアップルのiPodに代表されるような、デジタル音楽プレーヤーによって、カセットテープの需要は少なくなっていきました。

ついに2010年、カセットテープ型ウォークマンの国内の販売に終了を発表しました。

その31年間の歴史に幕を閉じました。

古くて新しいカセットテープ

waltz HPより

デジタル音楽プレーヤーが家電量販店にずらりと並ぶ現代でも、カセットテープ専門店のワルツは4年連続の黒字を保っています。

アメリカでは2018年の全米での売上がおよそ18万本~22万本に上昇し、対前年比23%増だったことを、ビルボードが発表しました。

フランスのムーラン社ではカセットテープを作って欲しいという要望があまりにも多かったため、2018年からカセットテープの製造販売を始めました。

カセットテープが売上を伸ばしている裏には、アナログの良さを感じる若者の価値観があると言われています。

若い人にとってカセットテープは「古くて新しい」メディアなのです。

不便の中にも楽しみがあるということを、若者がよく理解しており、音楽の楽しみ方が見直されています。